食材ロスを無くして利益を伸ばしたい
こんなお悩みにお答えします。
この記事の内容
- 飲食店のロス管理の失敗原因
- 飲食店のロス管理の対策
- 飲食店はロス管理ができると利益が増える
この記事の信頼性
店長の経験が10数年あります。
これまでのぼくの経験を交えて解説します。
この記事では飲食店のロス管理について解説します。
飲食店ではロス管理を含めた原価の管理はとても大切です。原価の改善方法についてもご紹介しますね。
この記事で紹介する改善方法を実践すればお店の利益が増えますよ。
この記事はサクッと5分で読むことができます。
飲食店のロス管理の失敗原因
飲食店ではロス管理は大切です。
とはいえなかなか難しいですよね。
飲食店のロス管理の失敗原因は下記です。
飲食店のロス管理の失敗原因
- 廃棄
- ポーション
- 商品ロス
- 在庫ロス
- まかない
- 無料サービス
- 不明ロス
廃棄
ロス管理ができない原因は廃棄です。捨ててしまうということですね。
廃棄が出る原因は発注のし過ぎや仕込みのし過ぎです。
廃棄が出る原因
- 発注量が多い
- 仕込み量が多い
売れるだろうと多く発注してしまったけど売れなかった。お客さんが来るだろうと見込んで仕込みをしたけど見込みよりお客さんが来なかったことで食材が廃棄になってロスになりますね。
ポーション
ロス管理ができない原因はポーションです。
ポーションは決められた分量のことです。
決められた分量より多く提供しているとその分ロスになりますね。
商品ロス
ロス管理ができない原因は商品ロスです。
商品ロスが出る原因
- 提供前に商品を落とした
- 注文を間違えて作った
せっかく作った料理を落としてしまって廃棄になったり、注文を間違えて作ってしまった料理もロスです。
在庫ロス
ロス管理ができない原因は在庫ロスです。
在庫ロスの原因
- 期限を確認していない
- 先出し先入れができていない
食材の発注をするときに食材の期限を確認すれば在庫ロスは減らせます。
納品が来た食材を冷蔵庫に入れるときに先出し先入れをすれば在庫ロスを減らすことができますよ。
まかない
ロス管理ができない原因はまかないです。
まかないに使う食材はロス手前の食材や賞味期限の迫った食材を廃棄することなく利用しましょう。
納品されたすぐの食材はお客さんに提供して利益になります。まかないに食材を使うなら利益になりそうにない食材、つまりロス手前の食材にしましょうね。
無料サービス
ロス管理ができない原因は無料サービスです。
無料サービスが出る原因
- 料理に合わせた薬味
- クレームによる無料提供
出された料理とあわせて洋からしやレモンなどの薬味を求めるお客さんがいます。なかなか有料ですと言いにくい品々なので、お店としてもタダで提供するしかないですね。
クレームによる無料の商品提供も食材ロスになります。
クレームの対応方法について気になる方は下記の記事でくわしく解説していますのでどうぞ。
不明ロス
ロス管理ができない原因は不明ロスです。
これまで上げたロスで説明がつかないロスがあります。
不明ロスが出る原因
- 盗難
- 試し作り
お店のスタッフが食材を持ち帰ってしまうことです。サイドメニューのドリンクを勝手に飲んだしまったも不明ロスですね。
新しいメニューを考えるときに使った食材や新人が腕を磨くために試し作りをするなどで使った食材もロスになりますね。
飲食店のロス管理の対策
飲食店のロス管理の対策は下記です。
飲食店のロス管理の対策
- ロス食材の特定
- 適切な在庫と発注量
- 食材の保存管理ルール
- ポーションオーバーを無くす
- オーダーや提供ルールの統一
ロス食材の特定
ロス管理の対策はロス食材を特定することです。
どの食材がロスになっているか把握しないと対策ができませんよね。
ロス食材を特定する方法は下記です。
ロス食材を特定する方法
- 食材ロス表から特定
- 原価計算から特定
食材ロス管理表から把握する
食材の廃棄状況を確認できる管理表を作成して毎日記入します。
毎日記入しているとよくロスになる食材が分かります。まずその食材からロスを無くしていきましょう。
原価計算から特定する
理論原価と実際原価の差から特定します。
理論原価と実際原価
- 理論原価: 商品を作るのに必要な食材と分量
- 実際原価: 理論原価+ロス
たとえばマグロ1貫の理論原価はこんな感じだったとします。
項目 | シャリ | マグロ | わさび |
理論原価量 | 15g | 20g | 1g |
理論原価金額 | 1.5円 (0.1円/g×15g) | 40円 (2円/g×20g) | 1円 (1円/g×1g) |
この場合のマグロ1貫の理論原価は42.5円ですね。
理論原価にロスが加わると実際原価になります。
項目 | シャリ | マグロ | わさび |
実際原価量 | 17g | 22g | 1g |
実際原価金額 | 1.7円 | 44円 | 1円 |
マグロ1貫の実際原価は46.7円です。
差が4.2円となりこれがロスです。
ロス管理の手順
- ロス食材の特定(原価計算、ロス管理表)
- ロス原因の特定(ポーションオーバーなど)
- ロス原因を改善する
理論原価と実際原価に差が出た食材はシャリとマグロだと分かります。
差が出た原因は先ほどの失敗原因から探します。そうするとポーションオーバーだと分かりました。
原因が分かれば改善するだけです。ポーションオーバーなら検量すれば改善できますね。
適切な在庫と発注量
ロス管理の対策は適切な在庫と発注量を把握することです。
適切な在庫と発注量を把握する方法
- 食材の使用量を把握
- 適切な発注量の把握
食材の使用量を把握する
過度な発注や在庫を防ぐために食材の使用量を明らかにします。
この計算で1ヶ月の使用量が分かります。
当月末の在庫量から適正かどうか判断すればOKです。もし余っているならその食材はあまり使っていないということですね。
適切な発注量を把握する
使用量が把握できたら発注量と発注サイクルを決めます。
もちろん発注した食材が期限内に使い切れるように発注することが大切ですよ。
食材の保存管理ルール
ロス管理の対策は食材の保存管理ルールを決めることです。
食材の保存管理ルール
- 先出し先入れ
- 食材の管理
- 冷蔵庫の清掃・温度管理
先入れ先出し
先に仕入れたものから先に使うというルールです。
食材の管理
どの食材をどこに収納するかを決めて、置く場所に食材の名前を書いたシールを貼ったり図に書いて貼り出すなど食材の保管場所を誰でもわかるようにします。
冷蔵庫の清掃・温度管理
冷蔵庫はいつもキレイにしておきましょう。
冷蔵庫の温度は表にして適時記入しましょう。
冷蔵庫もずっと使い続けているとダメになることもあります。冷蔵庫がダメになって食材全部ロスになることもありますよ。
ポーションオーバーを無くす
ロス管理の対策はポーションオーバーを無くすことです。
ポーションオーバーを無くす
- 検量の徹底
- 仕込み時にポーション分け
検量の徹底
規定の量は理論原価で決まっていますので調理をするときは計量器や計量カップなどを使って検量しましょう。
仕込み時にポーション分けをする
食材の仕込みをするときに検量しておけば調理をするときに検量しないで済みますね。
オーダーや提供ルールの統一
ロス管理の対策はオーダーや提供ルールの統一です。
オーダーや提供ルールの統一
- オーダーの復唱
- 提供前に料理の確認
- 提供前に料理名の確認
オーダーを復唱する
オーダーを受けるときには必ず品名と数量を復唱して確認しましょう。
提供前に料理の確認をする
お客さんに料理を提供する前に髪の毛が入っていないかなど必ず確認しましょう。
提供する前に料理名を確認する
注文と異なったものを提供しないように料理をテーブルに置く前に品名を確認しましょう。
飲食店はロス管理ができると利益が増える
飲食店はロス管理ができると利益が増えます。
ロス管理ができると原価管理ができますし、原価管理ができると利益が増えますね。
飲食店の原価管理
- キャンセルには注意
- 原価管理の方法
- 原価が変わると収益が変わる
キャンセルには注意
お客さんからの予約キャンセルには注意が必要です。
キャンセルされたら食材ロスが増えますよね。
飲食店の予約キャンセル率は9.3%でそのうち無断キャンセルは1%です。
1%なら大した金額にはならないと思うかもですが、経産省のレポートによるとその金額は2,000億円になりますよ。
No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポートはこちら
飲食店ができるキャンセル対策は下記です。
飲食店のキャンセル対策
- キャンセル料は請求できる
- 事前決済サービスの導入
- 確認の連絡を入れる
- 預かり金をもらう
- 代行サービスに依頼
キャンセル料は請求できる
キャンセル料は請求できます。
お店に予約をしたらお客さんとお店で契約が成立します。
キャンセルされたら損害がでますのでお店はキャンセル料を請求できますよ。とはいえお客さんにキャンセル料を請求するなんてと思うかもです。
泣き寝入りしないで済む仕組みを作りましょう。
事前決済サービスの導入
泣き寝入りしないで済むように事前決済サービスを導入しましょう。
事前決済サービスを導入すれば泣き寝入りしないで済みますよね。
確認の連絡を入れる
予約を受付したときにしっかり人数分の席を確保してあることを伝えましょう。
予約の前日や前々日には電話やメールなどで予約確認の連絡を取るとキャンセル対策に効果ありです。
もしも、その時にキャンセルになってしまったとしてもロスはさけられますよ。
預かり金をもらう
予約をいただいたら来店当日までに預かり金をもらいましょう。
預かり金があればもしキャンセルになってもすぐに回収できるので安心ですよね。
代行サービス
無断キャンセルの対応に手が回らないお店に代わって弁護士がキャンセル料を回収するサービスがあります。
無断キャンセルしたお客さんは弁護士からメールが来たらビックリします。無断キャンセルしたことを重く受け取るので回収率は高いですよ。
無断キャンセルについては下記の記事でくわしく解説していますので参考にどうぞ。
≫【深刻】飲食店の無断キャンセル増加中!解決策を元店長が解説します
原価管理の方法
ロス管理以外にも原価管理で行うことはあります。
飲食店の原価管理の方法は下記です。
飲食店の原価管理
- 在庫管理
- ロス管理
- 歩留まり
- 検量
- 棚卸し
在庫管理
冷蔵庫の中に食材がパンパンでは原価を改善するのはむずかしいです。
食材を発注するときや棚卸しをするときに正確に数えるのがむずかしいですよ。
在庫管理をするポイントはそれぞれの食材の置く場所を決めることです。
ロス管理
ロス管理については今回くわしく解説してきましたのでここでは省きます。
歩留まり
歩留まりは食材として使うことができる割合のことです。
数字が高いほど良いです。
例えば肉や魚はあぶら身や骨があって食材で使えない部分があります。
歩留まりが悪いと原価が悪くなります。肉や魚をさばくときに注意が必要ですよ。
検量
検量することで原価を改善することができます。
決まった量で提供し続けるということはロスがなく原価が安定するからです。
たとえばカレーのルーはレシピでは250gなのに毎回300gで提供し続けていたら原価は上がりますよね。
棚卸し
棚卸しを行うことで原価を知ることができます。
毎月月末に棚卸しをしていると思いますが、もっと棚卸しのサイクルを早めれば改善スピードは上がります。
原価が悪い現状なら月1回くらいの棚卸しでは改善スピードが遅いです。本当に改善したいなら毎週棚卸しを行いましょう。
原価の改善方法については下記の記事でくわしく解説していますので参考にどうぞ。
≫ 飲食店での原価の計算方法と改善策5選【飲食経験15年の僕が解説】
原価が変わると収益が変わる
原価が改善できると収益が上がります。
原価は売上に対して30%を占める経費だからです。
とはいえ業態により目安原価は違います。
業態 | 目安の原価率 |
焼肉 | 40% |
ラーメン | 30〜35% |
居酒屋 | 28〜35% |
ファストフード | 20% |
レストラン | 25〜29% |
カフェ | 25〜36% |
たとえば焼肉店の原価率45%ならこんな収支になります。月間売上が300万の場合です。
項目 | 金額 |
売上 | 3,000,000 |
原価(45%) | 1,350,000 |
人件費(20%) | 600,000 |
家賃(10%) | 300,000 |
その他経費(20%) | 600,000 |
利益(5%) | 150,000 |
でも原価が目安の40%なら下記になります。
項目 | 金額 |
売上 | 3,000,000 |
原価(40%) | 1,200,000 |
人件費(20%) | 600,000 |
家賃(10%) | 300,000 |
その他経費(20%) | 600,000 |
利益(10%) | 300,000 |
利益が5%増えます。
5%の利益とは売上別に見ればこの通りです。
売上別の利益5%
- 売上200万円なら100,000円
- 売上300万円なら150,000円
- 売上500万円なら250,000円
- 売上800万円なら400,000円
- 売上1,000万円なら500,000円
売上が大きければ失う利益も大きくなります。
飲食店にとって原価管理はとても大切なのです。
もちろん原価以外の経費についても管理をしなければいけません。
原価以外の経費管理や売上アップ施策については下記の記事でくわしく解説していますので参考にどうぞ。
≫【決定版】飲食店が儲かる仕組みは経費管理と売上アップ策にあり!
今回は飲食店のロス管理について解説しました。
ロス管理ができると利益が増えます。
最初は大変かもですが、やっていけばできるようになります。ぼくもそうやってロス管理をやってました。
まずはやってみましょう。
今回は以上です。